「書くこと」が仕事の領域を広げたり、信用を拡大させたり、売上や利益を増大させたりすることがあります。とくに最近はブログやSNS文化の発展により、知識やノウハウを発信することで自身をブランディングすることに成功し、莫大な富を得たスターが排出された10年とも言えます。書くこと、そして発信することが多くの人の仕事と人生を変えていったのです。
仕事の専門知識を楽しく書いていたらその分野のオピニオンリーダーになり、本業以外に業界セミナー講師を勤めるようになった人がいます。佐藤さん(40代男性/千葉在住)の本業は大手広告代理店マン。2004年当時からインターネット広告の世界についてレポートするブログを書きはじめ、世界各国の秀逸なインターネット広告企画の事例を紹介していました。頻繁な更新を心がける、莫大な数のインターネット広告の成功事例に触れました。
さらには自分なりの解釈を毎回書くことで、インターネット広告の研究者的な立ち位置を確立していきました。また、自分自身が斬新な広告企画の発想力を身につける上でも役立ったのです。その結果、クライアントに満足してもらえるだけでなく、インターネット広告で広告賞なども獲得。さらには彼の「研究者的な立ち位置」を知った業界メディアから、雑誌での連載や講演の依頼が殺到したのです。ブログを書くことによって業界のオピニオンリーダーとなり、現在は海外でのインターネット広告関係の新規事業を任されています。
そんな佐藤さんの、書くことによる人生の転機は、次の言葉を発した瞬間だったといいます。
「広告を作る時には、自分が面白くないとダメなんですよ。そうしないと結局、ユーザーの心にも刺さらない」
それはこれまで誰も書かなかったタブーにも近い本音。でも、だからこそ発信したとたん、同業者の共感度が一気に増えたといいます。
「広告のプランニングにおいても好きな方向を思いっきり突き詰めることで結果を出すことができましたね。あれはある意味、ブログという公の場所での自己開放宣言だったのかもしれません」
ほかには、ブログを書き続けた結果、複数の出版を達成し、オンリーワンブランディングに成功したビジネスマンの方もいます。徳本昌大さん(50代男性/広告代理店勤務/東京)は毎朝、通勤電車のなかでブログを書くことを習慣にしました。自分の業界のこと、世の中で起こっているさまざまなことへの提言、あるいは自身が得た知識など、とにかく毎日更新し続けたのです。その期間、は実に1000日以上。徳本さんの書く習慣はご自身の生活も変えていきました。
SNSなどが比較的苦手とされる40代、50代の男性がインターネットメディアであえて自己発信をしながら人生を充実させ、自分をブランディングするための集団「ソーシャルおじさんズ」を結成し、100人近いコミュニティを作り上げました。そんな徳本さんの人生を一変させた運命の1フレーズがあります。それは「アウトプットしないインプットは意味がない」
これは自分自身に対する「宣言」でもありました。
「ブログに多くのインプットしたものをアウトプットすることで、関連情報や人が引き寄せられてきました。それらを組み合わせ、アクティブに行動することで、プロジェクトが数多く生まれ、人に貢献できるようになったのです。さらには多くの出会いがデザインされ、シンクロニシティが起こるようになりました。インプットの量が増えること、アウトプットすることで知識を自分ゴト化でき、知恵に昇華させることで、人間の幅が広がるといった現象が起きました」
そう徳本さんは語ります。
徳本さんは現在、メンバーと一緒にセミナーを開催するなど、充実の日々を送っています。さらには書籍『乗り遅れるな! ソーシャルおじさん増殖中! (ソフトバンク新書)』『ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣(扶桑社)』『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条 (マイナビ新書)』など、書籍も続々と出版し、「書く習慣」から確実にオンリーワンブランディングの成功路線をひた走っています
また、メールマガジンの発行やSNSの執筆をはじめ、自分でセミナーを主催するなど、会社外にもうひとつの顔を持ち収入を得る男性がいます。小出さん(20代男性/IT系企業勤務/埼玉)は、会社で毎日叱られ、しかも仕事が合わずに悩む日々を過ごしていました。
「自分をもっと思う存分表現しながら、やりたいことでお金が稼げる人生にできないか?」
いつもそのように自問自答する日々を過ごしていたのです。しかし転職する勇気も、採用してもらう自信もありませんでした。「転職した先でもまた今のように能力を発揮できない劣等生生活を強いられるのでは?」というトラウマに似た絶望にとりつかれてしまったのです。そこで小出さんは会社を辞めずに自分を鍛えることにしました。さまざまビジネスセミナーや自己啓発セミナー、そして異業種交流会に顔を出すために、時間とお金を投資しました。それを繰り返すうちに、自分でもセミナーを開催してみたくなりました。
専門家の先生を立てて講演会やビジネスをするノウハウは豊富にあります。小出さんはセミナーのためのブログを書きはじめました。さらにはフェイスブック、ツイッター、メールマガジンなども駆使し、セミナーに興味を持ってもらえる見込み客を集めはじめたのです。はじめ、メルマガの送信先は友人知人しかありませんでした。しかし次第にブログからのメルマガ登録者が増えはじめたのです。1年後、小出さんは副業ながら事業を会社化しました。
小出さんの運命が変わった瞬間がありました。それはある文化人の方との出会いでした。はじめは生徒としてそのセミナーに通い続けるうち、その文化人の方と懇親会で仲良くなりました。やがてセミナーのお手伝いをさせてもらえることになったのです。ある時、彼はその方から、「あるセミナーの開催要項とセミナータイトル、それからセミナーの魅力を伝える文章や参加メリットなどをセールスレターとしてまとめてほしい」と頼まれたのです。
小出さんは全力でそれに取り組みました。先生はそのチラシを絶賛。実際にセミナーを開催してみたところ、集客もうまくいき、信頼を勝ち取ることができたのです。その後、先生のセミナー事業は人気を極め、年商は2000万円を超えました。
「どこの会社でも評価されなかった人がうまくいった私もセミナー業をやると決め、こうして書く習慣を続けることでファンもつき、自分の居場所をつくることができました。」
小出さんの副業の収入は、ついに会社の年収を超えました。現在、小出さんは会社から独立し、自らセミナー主催会社を経営。会社員時代の3倍の収入を得ることができたのです。
このように「書くこと」「書き続けること」「自己発信し続けること」がその人のビジネスの軸をつくり、そしてその領域を再現なく広げていくのです。
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